結婚の減少・少子化は、経済環境の悪化が要因なのか

1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」が、2021年は「1.30」となり6年連続で低下したと発表されました。

「出生数」自体も同様に6年連続で減少し、過去最少の「81万1604人」だったそうです。

団塊ジュニア世代(昭和49年生まれ)の僕の同級生が約200万人なので、約50年経って6割も減ってしまったということですね。

婚姻数も、2021年は約50万件となり戦後最少記録を更新しています。

日本では婚外子が少なく、結婚後に子どもを持つケースがほとんどですので、結婚が減れば少子化に直結していきます。

こうした現状に対して、少子化は非常事態だ!と多くの識者が訴えているようです。

 

さて、出産意欲の低下や結婚をためらう若い世代が増えたことの要因としていつも主張されるのは、若い世代の就労・収入環境の悪化です。

現在40代後半の僕らの世代は、10歳上の世代の10年前よりも平均年収が150万円ほど少ないそうです。

そしてさらに下の世代になると、平均的にはもっと低くなっていく傾向があります。

国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、男性が結婚相手の条件として重視・考慮する項目のうち「経済力」をあげた割合は1992年の27%から2015年には42%にもなっています。

経済環境が厳しいままでは家族を持つことへの期待や意欲が高まらないのだと、いつももっともらしく説明されています。

 

本当にそうでしょうか。

確かに、子ども一人あたりにかかる教育費は1千万円だ!などと言われます。

キリのいい数字なので、そう思い込んでいる人も多いのではないでしょうか。

独り歩きする巨額の数字を前にすると、多くの人が結婚・出産に尻込みしてしまうかもしれませんね。

でも、本当にこんなにかかると思いますか?

こんなにかけないといけないと思いますか?

周りに合わせないといけないと思っていませんか?

塾や習い事に行かないといけないと思っていませんか?

 

考えてみてください。

本当に勉強したいなら、図書館に行けば無料でいくらでも本を読むことができます。

わからないことは学校の先生に聞けば、放課後にいくらでも時間をとって教えてくれるはずです(学校の先生は多忙ですが、多忙を理由に放課後に教えてくれないなら教師を辞めたほうがよいでしょう)。

無料で見られる学習系動画投稿サイトなど、年々充実してきています。

このように、わざわざお金をかけなくても、工夫次第でいくらでも勉強することができるはずです。

 

そもそも、どうして少子化が問題視されるのでしょうか。

年金をはじめとする、社会保障制度の維持にかかわるからです。

要は、あくまでも今の制度のもとで恩恵を受けようとする限りにおいて、少子化になると困るのです。

でも、残念ながら少子化は少なくともすぐには止まりません。

誰だって収入を増やしたいに決まっていますが、少子化でモノがますます売れなくなっていく中で、会社の売上も全体としては伸びず、誰もが思い通りに収入を増やせるわけではないのですから。

 

では、私たちはどうすればいいのでしょうか。

簡単なことです。

お金をかけなくても、人生を楽しめるようになればよいのです。

先述した、お金をかけずに学ぶ工夫をすることもそうです。

自分の力で周りの経済環境を変えることは、あまりにも困難です。

でも、自分の考え方を変えることならすぐにできます。

「政府や経済界は若い世代の収入環境をよくすることに力を注げ!」とか、「社会の変化に対応した新しい制度設計が必要だ!」などと識者は言いますが、そんなの無理です。

国に頼っても、何もしてもらえません。

もちろん産む産まないは個人の選択であり、他人がどうこう言うべきことではありませんが、もし出産を希望するなら、お金のことは気にし過ぎないようにして、どうにかなるさと考えればよいのです。

良い意味で楽観的な個人が増えていけば、案外少子化も克服されてしまうのではないでしょうか。

少子化に対する、実は最善の処方箋だと思います。

 

だいたい、お金のことを気にして子どもを産むか産まないか思い悩むのは、しょせん人間だけなのですから。