お悩み相談「変額保険の見直しどきはいつ?」
現在、夫名義で某生命保険会社の変額保険に入っています。
契約日は2008年8月で、主契約の金額は一千万、変額保険の金額は現在90万程度、主契約解約返戻金額は現在370万程度です。
変額部分が株価の下落などで減ってしまったタイミングなどで、組み入れ比率の変更や、積立金移転の手続きをしているのですが、素人考えなので、これであってるのかな?と不安です。
変額部分をそれほど減らさず、ちょっとリスクをとりつつ微増するとうれしい、という程度で運用していきたいと考えているのですが、今後、どうすればよいでしょうか?
私と夫、子どもの状況は、下記のとおりです。
<夫>
50代前半、会社員(システムエンジニア)、年収約800万円
会社が都内・転勤なし、家は夫の両親の持ち家の2階部分をリフォームして、2世帯住宅として住んでいる。
<私>
40代後半、扶養の範囲内でパート
<子ども>
長男は私立高校1年
次男は公立小学校4年生 私立中学受験予定
以上
「変額保険の見直しどきはいつ?」というご質問に対する回答といたしましては、「今すぐです!」となります。
ただしその根拠は、ご質問者さまが期待される説明とは全く異なるものになるでしょう。
というのは、ご加入中の「変額保険」という商品自体が、保険の本質を考えると加入者に非常に不利な設計となっているからです。
もしかすると2008年にこの保険を勧めてくれた担当の方は、とても親身になって一所懸命対応してくださったのかもしれません。
そしてご加入以降すでに十数年にもわたり安心の拠り所にされていた保険を今さら解約することには、大きな抵抗感を持たれるでしょう。
それでも、この保険は解約されたうえで、別の方法で同等の保障を確保し、資産運用を継続されることを強くおすすめいたします。
そもそも保険というものは、加入者みんなで少しずつお金を出し合い貯めておいて、不幸が起こった人にそのお金を届けるというシンプルな助け合いの仕組みです。
これを運営するためには、一定の経費がかかります。
一方で、投資にも一定のコストがかかります。
当然どんな保険や投資商品でも相応のコストが必要なのですが、問題は、この商品のように「保険」と「投資」を一緒にしてしまうと、それがものすごく割高になってしまうことです。
加入者が負担する保険料に保険会社の利益分を紛れ込ませやすくなるためです。
ですから、このような貯蓄機能のある保険商品は、保険会社にとっては儲かりやすい商品であり、そのコストは契約者こそが負担させられているというのが現実です。
しかも、運用次第で加入者が受け取れる金額が変わるということは、運用がうまくいかなくても保険会社の損にはならないので、加入者にとっては圧倒的に不利となります。
一見変額部分の運用がうまくいっているように見えても、このような保険会社の収益構造を考えていくと、例えればバケツに水が少しずつ溜まってはきているけれども、実は小さな穴が開いていて、じわじわ漏れているようなものです。
保険部分も投資部分も、効率が悪すぎます。
このような保険商品の継続は、たとえどんなに愛着と安心感を持っておられたとしても、あくまでもご加入者さまのことを考えれば決してお勧めできないことを、どうかご理解いただければ幸いです。
では、今後どのように見直しを行えばよいのか考えていきます。
死亡保障には、定期保険またはその一種である収入保障保険を活用してください。
どちらも掛け捨ての、シンプルで割安な保険です。
保障期間は次男さまが独立されるまでを目安として15年程度に設定しておけばよいでしょう。
保障額も現状に合わせて必要分を設定してください。
一方で、解約により保険料が下がった分につきましては、変額保険の運用商品と同内容の投資信託(ファンド)を選び、毎月の積み立て設定をしておいてコツコツ定額で購入していかれるとよいかと思います。
もっともこの機会に、株式を主な投資対象とした、長期での投資に資する本格的なファンドを納得の上で選んでおけば、何も心配することなく、時間を味方につけていずれ微増どころか資産は大きく増えていくでしょう。
そうすれば、より早期に保険から「卒業」することも可能になるかもしれません。
この記事は、お金の相談サイト「MoneQ(マネク)」にてお答えしたご相談を抜粋し、掲載しております。