お悩み相談「専業主婦がNISAをやる意味を教えてください」

50代女性専業主婦です。主人は会社員で数年後定年を迎えます。

家は二人の持ち家です。家庭は中級くらいでしょうか。

主人は今自分の実家の方の件で、お金を結構貯めないといけない状況です。

それと同時進行で、我々の老後資金の一人2,000万円も貯めないといけません。今までは子供の大学の件とかでお金を結構使ってしまい、あまり残っておりません。主人は今は自分の件で必死になり給料のほとんどを貯金に回しており、私の手元には毎月数万しか手渡されず、老後資金の事なんてまだ考えられないと言っております。私は今頃になり焦っています。

そこで友だちと少し話をしたのですが、友だちは「NISAをやっている」と言っており、私に勧めてくるのですが、調べましたがよく分かりませんでした。

そこで、「専業主婦がNISAをやる意味」をお教え頂けないでしょうか?

そして、このような状況の主婦がやってもいいのかもお教えください。


「専業主婦がNISAをやる意味」・・・ですか。これは難問です。

では、「会社員がNISAをやる意味」「公務員がNISAをやる意味」「自営業者がNISAをやる意味」「学生がNISAをやる意味」「学生がNISAをやる意味」・・・と5つほどコピペして主語を入れ替えてみたのですが、どれをとってみてもご納得いただけるだけの違いを説明することは困難です。

ですから、「このような状況の主婦がやってもいいのか」につきましても、このような状況かどうかや主婦かどうかということは、NISAを利用する・しないの判断にはあまり関係がありません。

そもそもNISA(少額投資非課税制度)とは、普通の生活者が金融商品に投資して資産形成を行うことを後押しするためにぶら下げられた、ニンジンみたいなもの。

通常、「株式」や「投資信託」などの金融商品に投資してうまく儲かると、儲かった分に対して約20%の税金がかかります。

例えば、100万円で買ったものが150万に値上がりして売却すると、利益の50万円に20%の税金(50万円×20%=10万円)がかかるため、手取りは140万円になります。

ところがNISAを利用して投資すると、150万円がまるまる受け取れるのです。

これがお得そうだからとNISAを利用する人が少しずつ増えてきてはいるのですが、あくまでも得するのは儲かったときのみだということを忘れずに。

値下がりした状態で売却してしまうと、NISAを利用していたとしても結局は何の意味もなくなってしまいます。

NISAありきになってしまってはいけないのです。

一方で、専業主婦であるかどうかにかかわらず、またNISAを利用するかどうかは別として、できれば少しだけ勉強して投資を実践されるのは良いことだと思います。

上述した「投資信託(ファンド)」という普通の生活者の資産形成に最適な金融商品があり、これを活用することをおススメします。

具体的には、株式を主な投資対象としたファンドを一つ選び、例えば毎月数万円、というようにコツコツと積み立てていくだけです。

もちろん専業主婦の方でも活用できます。

人生100年時代だとしたら、ご相談者さまはようやく折り返し地点を過ぎたところ。

どうか焦らないように。

独り歩きする「2,000万円」という無機質な数字に翻弄されてはいけません。

私たちの身の回りにある様々なモノやサービスは、企業によって生み出されたものです。

歴史をさかのぼれば、人々の少しでもより良い生活をしたいという欲望が原動力となって今まで経済が成長してきましたし、おそらくこれからもそうなっていくでしょう。

であれば、株価は短期的には大きく上下動しますが、長期的にはその企業の価値に収れんしていくはずです。

ですから、少額ずつ時間を分散させながら株式にコツコツ投資していくという手法こそ、高い再現可能性をもって着実な資産形成を行うための近道です。

本業を通じて社会課題を解決し、より良い世の中づくりに欠かせない企業を丹念にリサーチして投資先企業を選定している、長期での投資に資する本格的なファンドを選ぶ手間さえ惜しまなければ、何も心配することなく、時間を味方につけていずれ大きな資産となっているでしょう。

ちなみにNISAには、現時点では「一般NISA」と、上述した長期積み立て投資になじむ「つみたてNISA」があり、もし利用されるなら後者が望ましいでしょう。

ご自身で納得できるファンドを選び、その商品がつみたてNISAの対象であれば利用を検討する、というくらいのスタンスがちょうどよいかと思います。

「税制優遇」などのメリットは一見お得で魅力的に思えるかもしれませんが、節税というのはあくまでもオマケみたいなもの。

NISAなどの制度ありきになっては大事なことを見失います。納得できる投資先を見つけることこそ先決です。

ご主人も大変な状況ではあるようですが、できればご夫婦でお金のことや今後の暮らし方全般に関して前向きにお話ができればよいのですが・・・。

投資は大事ですが、一攫千金はありませんから。


この記事は、お金の相談サイト「MoneQ(マネク)」にてお答えしたご相談を抜粋し、掲載しております。

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