お悩み相談「持ち家のリスクを教えてください」

会社員の夫と二人で暮らしている40代派遣社員です。

持ち家の将来的なリスクについて教えていただきたいです。

若い頃からマイホームを持つことを漠然と考えて貯金をしてきました。

そのため現在すでに持ち家を購入することは可能なのですが、夫と話し合った結果、持ち家のリスクがいろいろ気になり出して購入を躊躇しています。

最近は将来的に見て日本では賃貸のほうがメリットが多いとすら感じ出しているので、専門的な立場からアドバイスいただけたらうれしいです。


「将来的に日本では賃貸の方がメリットが大きい」と感じておられるのは、お金の面において、ということでしょうか。

FPは「お金の専門家」とされていますので、まずはその視点で考えてみたいと思います。

ご承知のとおり、日本はすでに人口減少局面にあり、空き家が増えていることが問題になっているほどです。

言い換えれば、えり好みしなければマイホームを手に入れやすくなっていく可能性が高いということであり、それはすなわち、平均的には住宅価格は今後下落していくだろうということがいえるかもしれません。

だとすると、当面は賃貸で暮らしながら、将来のどこかの時点で住宅価格が十分に下がったと思えるところで、自己資金を中心に無理のない範囲で可能であれば購入する、というのが一つの戦略です。

しかし、単にお金の面で損か得か、コストパフォーマンスありきで考えてしまうとおそらくうまくいきません。

「リスク」とは「不確実性」のことです。

今後住宅価格が下落して相対的には身軽な賃貸の方がトクになるかもしれない、というお金の面でのリスク以外にも、地震や台風などの自然災害のリスク、修繕費など保有に伴い発生する費用上昇のリスク、隣の人が嫌な人かもしれないリスク、空き家になるリスク・・・数え上げればキリがありません。

そもそも、家を持つことがリスクなら、生きてくこと自体もリスクだらけです。

そして、ハイリスクならハイリターン、ローリスクならローリターンというのが、単に金融商品を選択するときの考え方だけではなく、生きていくうえでのあらゆる物事における原理原則です。

どうか、リスクだけではなく、リターンにも目を向けてみてください。

マイホーム購入によって得られるリターンには、どんなことがあるでしょうか。

好きなようにリフォームできること、きれいで使い勝手の良い設備、家を持っているという満足感、見栄・・・何がリターンになるのかというのは人それぞれですが、購入するかどうかの決め手は、リスクに見合うだけのリターンが得られると思えるのかどうか。

考え方はとてもシンプルなのです。

購入された住まいのキッチンの、広いシンクがものすごく使いやすいかもしれません。

新しい住まいに合わせて購入された家具が、年月を経るほど味わい深いものになっていくかもしれません。

お金の面をはじめとして、リスクだけを見てしまうと悩みは深まるばかりです。

リスクをとってでも本当に家が欲しいのか。

それを自問していけば、買うかどうかの結論は案外簡単に導き出せるのではないでしょうか。


この記事は、お金の相談サイト「MoneQ(マネク)」にてお答えしたご相談を抜粋し、掲載しております。

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