「コロナ保険」に入ってはいけない理由がわかれば、生涯にわたって保険で失敗することはないでしょう。

結婚式保険に旅行キャンセル保険、ネット炎上保険などなど、世の中には聞いたこともないような変わり種の保険商品がいろいろと存在します。

「事故(ネット炎上など、その保険の対象となる事態のこと)の発生確率」と「その事故による損失」の2つさえ計算できれば、どんなリスクでも保険の対象にできるのです。

ただし、前提となる発生確率が正確であることが、大前提。

もし想定を超えるペースで事故が発生してしまうと、集めた保険料の中から事前に約束した保険金を支払うことができなくなってしまい、保険商品として成り立たなくなってしまいます。

 

それが現実化してしまったのが、悪名高い「コロナ保険」。

想定よりも感染者が増え、販売した保険会社が誤算に直面しています。

保険金の支払い件数が急増しているのは、自宅や市町村が用意したホテルで療養する「みなし入院」の感染者にも入院給付金を支払うことを約束してしまったため。

この事態を受けて保険会社は、すべての「みなし入院」にまで保険の対象とする措置を見直し、高齢者など一部の条件に当てはまる人を除き「みなし入院」では給付金を支払わない方針を示しました。

 

もちろんコロナ保険に入っていた人たちは、黙ってはいません。

「みなし入院でも保険金を受け取れると聞いていたのに、約束が違うだろ!」

「後出しじゃんけんだ!!」

「保険料を返せ!!!」

などと、SNSなどで怒りの書き込みが相次ぎました。

 

でもね・・・・、どっちもどっちなんですよ。

保険会社も、保険に入っていた人たちも。

お互い同類で、みんなが強欲にまみれた当然の結末です。

 

保険会社側にとっては、コロナ専用保険はいわゆる「ドアノック商品」。

試供品みたいなものです。

「保険離れ」が明らかな若い人たちに対して、まずは手軽な保険料で入れる商品を買わせて保険商品への抵抗感を薄れさせておいて、後で高い保険を売りつけようとする意図がスケスケに透けてみえます。

そして、SNSが主な情報源となっている若い人たちを狙い撃ちにしたのです。

 

特に大手保険会社がスマホ決済事業者などを通じて販売したコロナ専用保険では、500円程度の保険料で10万円ほどの保険金が受け取れたりしました。

コロナに感染すれば200倍にもなって戻ってくる、などとSNSで話題となって拡散し、申し込みが一時急増することに。

結果として、感染したのにその事実を告知せずに保険に加入して給付金を申請したり(これこそ後出しじゃんけん。最低やね!)、給付金を受け取るためにわざと感染したりといったあまりにもモラルのない行為が横行し、保険金支払額の膨張の一因ともなりました。

申請が増えれば増えるほど医療機関や保険会社の事務作業の負担も増えており、そうした犠牲を知らないまま不正に受け取っている人も少なくありません。

そうして、販売停止になったり、同じ給付金額を受け取りたいなら保険料が上がってしまったりして、本当にこの保険が必要な人が入りにくくなっていったのです。

 

また、幸運にも(?)コロナに感染して保険料の200倍の保険金を受け取れて「得」をしたと思い込んでいるおめでたい人は、将来の「大損」につながるかもしれないことを認識しておくべきです。

保険ってそういうもんだ、と勘違いしてしまうことこそ、怖いことでしょう。

コロナ保険の「成功体験」に味を占めて、本来は必要のない保険にまでうっかり加入してしまったりすれば、もう保険会社の思うツボ。

保険会社側からしてみれば、コロナ保険で「損」をしても別の保険でがっぽり儲けることができてしまいます。

 

一般的に保険商品は、契約者から集めた保険料のうち、保険金として契約者に支払われて還元されるのは7割ほどにしかならないと考えておいてよいでしょう。

言い換えれば、胴元(保険会社)が3割を抜き取る、割に合わないギャンブルであるともいえます。

パチンコや競馬・競輪でさえ還元率は8割程度なので、本当のギャンブルよりもお金を減らしてしまう確率が高いのです。

だから、保険というギャンブルにはできる限り近づかないに越したことはない、というのがセオリー。

予期せぬリスクに備えるためには、保険会社にわざわざ保険料を支払うのではなく、まずは預貯金として自分の口座に確保しておくことを最優先するのが鉄則です。

別の言い方をすれば、保険に入るのは、保険でしか備えられないリスクに限定するべきだということ。

例えば、わが家はまだ子どもが小さいので、僕が亡くなって収入が途絶えたときのために、手持ちのお金と遺族年金では不足すると考えられる分を補うために必要最低限で生命保険に入っています。

1千万円単位で不足すると考えられる分を今すぐ預貯金などで確保することはとてもできないので、民間の保険商品に頼らざるを得ないのです。

 

コロナ感染時の給付金が仮に10万円だとして、そのお金はわざわざ保険に入らなければ用意できないものなのでしょうか。

もちろん決して小さな金額ではありませんが、がんばって月1万円ずつ貯めていけば、10か月で用意できる金額でもあります。

ましてや、コロナが理由の入院や投薬、検査費用は、よほどの高所得者でもない限りは全額公費負担です(今後変更されることはあります)。

会社勤めであれば、感染して働けなかったとしてもすぐに収入が減るとは限らないのではないでしょうか(逆に、非正規雇用などで、かつ手持ち金がほとんどないという方にとっては、コロナ保険に入るのもアリですが)。

そう考えると、本当にコロナ保険が必要な人は、それほど多くはないはずです。

保険はあくまでも、リスクに対する備えの一手段であり、それ以上でもそれ以下でもありません。

「得」することを目的にしてしまうと、必ず大きな代償を支払う羽目になります。

 

そもそも、保険って何のために生まれたのでしょうか。

もともとの生命保険の起源は、中世ヨーロッパの「ギルド(職業組合)」にあるといわれます。

職人たちがお金を少しずつ出し合い、病気やけがで働けなくなったときに備えたのです。

始まりは、仲間うちでお互い支え合う、助け合いの仕組みだったわけです。

自分だけが得するためのものではなく、あくまでもみんなのためのもの。

 

コロナ禍を乗り越えるためには、他者を思いやる行動こそ必要なはずです。

「自分だけが得すればいい」ではなく。

その当たり前のことを、もう一度思い返してみましょうよ。

そうすれば、多くの人がコロナ保険に殺到するような不可解なことは起こらないと思うのですが。