マイナンバーカード、国はなぜ本当のメリットを伝えない!

マイナンバーカードの交付申請書が、各家庭に発送されています。

その封筒の宛名の下には、大きな太字でこんなメッセージが書かれています。

 

「最大2万円分もらえるマイナポイント第2弾を実施中です。

この機会にぜひマイナンバーカードを申請してください。」

 

さらに、封筒の中にはチラシが何枚か入っていて、その中でキャラクターのマイナちゃんがグーサインをしながら「これからの暮らしに、手放せない一枚!」とカードを持つことのメリットを列挙しています。

例えば、コンビニで証明書が取得できたり、健康保険証として使えたり、ワクチン接種証明書がスマホアプリで発行できたりするとか・・・。

なくてもそこまで生活に不便を感じないような「メリット」を、一所懸命訴えている感じがします。

 

結局、申請している人たちの目当ては、「最大20,000円分のポイント」でしかないんですよね。

僕の周りでも、当初はプライバシーが守られないからマイナンバーに反対!なんて威勢がよかった人たちも、個人情報遺漏リスクなんていうデメリットは見て見ぬふりをして、20,000円という魅力的な「ニンジン」に飛びついてしまった人が少なくないようです。

 

どうして、こんなことになるのでしょうか。

国は、僕たち生活者を小バカにしているとしか思えません。

どうせお金で釣らなければ国民は動かないのだ、と。

本来、マイナンバーカードの普及の先にあるデジタル社会の構築は、生活者一人ひとりにとって、コンビニで証明書を取得できるどころではない、もっと遥かに大きなメリットがあるはずです。

 

例えば、お金の流れが透明化されていきます。

確かにそこに気持ち悪さを感じる人は多いのかもしれませんが、言い換えればお金を隠すことができなくなるので、脱税という悪いことができなくなっていきます。

それによって、ずる賢い人だけが得をする(マジメにがんばっている人が損をする)現状が大きく改善されますので、より公平な世の中に近づいていきます。

結果として、多くの人にとって将来の税金の負担が軽くなっていくので、みんなの生活が豊かになっていきます。

その効果は、たかが20,000円のはした金どころではない、絶大な威力となり得るのです。

にもかかわらず、国はこのような本質、本当の大きなメリットに触れることなく、目先のお得さを強調するばかりの貧しい発想になり果ててしまっています。

20,000円という目先のニンジンに釣られてマイナンバーカードを申請した人を、国はしめしめとでも思っているのでしょうか。

 

国は、教育が重要だ、人生100年時代にはいくつになっても学び直しが大切だ、と声高に叫んでいます。

その一方で、国からおカネをもらえることを当然だと考えて行動する人々を大量生産しているとしか思えない政策の数々。

そのおカネがどこから出てきているのかを理解しておくことって、本当はみんなが知っておかなければならない大切なことであるはずです。

その先にこそ、「自分さえよければ」ではなく、周りのみんなのことを考えて行動できる自立した個人が増えていくのではないでしょうか。

そのための手段として、マイナンバーカードは格好の「教材」になり得るはずです。

本質的な意義を訴える正攻法ではなく、その場しのぎの目先のお得さで釣り続ける限りは、「自分さえよければ」がまかり通る世の中の分断が、ますます助長されていきそうな気がします。