人気上昇中「ターゲット・デート・ファンド」をおすすめしない理由

「資産自動配分の投信人気 老後資産づくりで注目」

今日の日経新聞夕刊1面に掲載された記事です。

企業型確定拠出年金での採用を中心に、残高が増え続けているそうです。

「ターゲット・デート・ファンド」とは、年齢が若いうちは高いリスクをとって高いリターンを目指し、リタイアが近づくにつれてリスクが低い資産配分に自動的に変えてくれる投資信託のこと。

商品名のうしろに、「2035年」「2045年」などの数字が入っているのが特徴です。

自分のリタイアの時期(ターゲット・デート)に近いものを選んで、投資されます。

一般的に、投資対象となる代表的な資産として、価格変動は大きいけど高いリターンが期待できる「株式」と、価格変動も期待リターンも小さい「債券」があります。

この商品に月3万円を積み立て投資する場合、例えば20代のうちは2万円分が株式、1万円分が債券の購入に当てられ、それが50代ごろになると2万円分が債券、1万円分が株式になるよう、自動的に比率が調整されていくのです。

なので、リタイア直前に株式相場が大暴落してしまって、せっかく今までコツコツ積み立ててきたのに換金時に大きく目減りしてしまった、という泣くに泣けない事態をある程度防げることがメリットだと言われます。

確かに、60歳や65歳で投資をやめてすべて現金化する必要があるのなら、それなりに合理的な商品かもしれません。

実際、ファイナンシャル・プランニングの教科書的には、「正解」の一つになるでしょう。

でも、世の中は人生100年時代です。

そこから20年、30年、40年と元気に生きる可能性もあるのです。

身の回りのモノやサービスの多くは、株式会社などの企業によって提供されていますよね。

昨日より今日、今日より明日、と少しでも豊かな生活をしたいという人々の欲望が原動力となって、今まで何十年、何百年と経済が成長してきましたし、未来もおそらくそうなるでしょう。

しかも、現在世界の人口は76億人ですが、2050年には100億人に近づくと国連は推計しています。

少なくとも単純に人口が増える分だけは、経済の規模が大きくなっていくと考えられます。

もちろん短期的には景気の波はあり、株価は大きく上下動しますが、長い目でみると、世の中に必要とされるモノやサービスを提供する企業の売上・利益は増加し、株価はその企業価値に収れんしていきます。

これからも経済は成長していくと信じることができれば、リタイアしてからも株式(が組み入れられる投資信託)に投資を続けていくことは、極めて合理的です。

投資をやめる必要はありません。

お金が必要になったときに、大きく育った資産の一部を引き出しながら、当面使う予定のないお金はそのまま残して世の中の経済成長にのせておくこと。

これが投資の鉄則です。

信じられないかもしれませんが、年月を重ねるごとに「複利」効果で資産の増え方が速くなっていくので、気がつけば、いくら使っても使っても、資産が減るどころか増え続けていくことにもなりえます。

(だから、「格差」は拡大し続ける一方なのです。資産が増えたら、自分で貯めこむのではなく、どう世の中に還元していくかを考えていかなければなりません)

株式を主な対象とした投資信託で、自分で納得できるものを選んだら、あとはやめずに続けること。

僕自身が、現時点ですでに20年近く、同じ投資信託に同じペースでコツコツ投資を続けていますので、自信を持ってお伝えできます。