コロナウイルス感染拡大で、世界がデフレに?
今日の日経新聞夕刊1面トップの見出しは、「コロナ 世界にデフレ圧力」。
前の月と比べた4月のアメリカのモノやサービス全体の値段が、ほぼ11年ぶりとなる強烈な下落幅を記録したそうです。
みんな外出を控えるので、「需要」がことごとく失われ、ガソリンや洋服などいろいろなモノの価格が、一気に下がっているのが数字に表れています。
アメリカだけでなく、ヨーロッパや中国など多くの国で物価が下がっています。
工場などでの生産活動が停止し、モノの供給不足で価格が上がっている分野もありますが、下がっているモノのほうが圧倒的に多いということですね。
コロナウイルス感染拡大というパニックのさなかで、このようなニュースに遭遇すると、もしかしたらこれからもずっとデフレが続いていくのでは・・・という気持ちになることもあるかもしれませんが、そこは長い目でじっくり考えていきましょう。
世界の経済は、数百年単位の長期でみるとゆっくりと成長してきました。
しかも現在77億人の世界の人口が、2050年には100億人を達すると見込まれていることを考えると、成長のスピードは緩やかになるとしても、これからも経済成長は持続し、長い目でみれば、物価も上がっていくと考えておいたほうがよいのではないでしょうか。
さらに、この記事でも「強力な金融緩和が欠かせない」と主張されていますが、世の中のおカネの量がこれからも増え続けることを思うと、おカネ(例えば1万円)の価値はますます下がっていくでしょう。
おカネの価値が下がれば、相対的にモノやサービスの値段は上がります。
つまり、インフレ。
ざっくりいうと、1万円の価値が半分になれば、今1万円で買えるモノの値段は倍の2万円になります。
これから物価が上がっていくことは避けられないだろうと思います。
でも、それが一気に上がるのか、緩やかに上がるのか、半年後に急激に上がるのか、5年や10年は大して上がらないのか、物価上昇の時期と程度は誰にもわかりません。
それでは、私たち生活者は、おカネに関してどのような行動をとればよいのでしょうか。
具体的には、民間の保険会社の終身保険や個人年金など、長期間にわたって金額が固定されてしまうような商品は避けるべきでしょう。
「30年後に毎月10万円を受け取れる個人年金」に加入してしまうと、30年後の「10万円」の価値が今の1万円くらいの価値しかなくなっていれば、老後のために保険に加入したのに、なんのこっちゃ、となりますね。
30年間も物価がほぼ変わっていなければ、または今より物価が下がっていれば、「ラッキー!」となりますが、物価が大きく上昇する(=おカネの価値が下がる)可能性がある限り、個人年金に加入するなんていうリスクを冒すべきではありません。
(ちなみに、公的年金の受け取り額は物価にある程度連動しますので、受け取れる金額自体は減るでしょうが、少なくとも民間の個人年金に比べるとはるかに頼りになります。)
逆に、住宅ローンなど長期でおカネを借りる場合は、基本は「固定金利型」を選択すべきです。
いつ金利が上がるかわからない「変動金利型」を選んでしまうのは、リスクが高すぎます。
金利が上がりそうになれば「固定金利型」に変更すればいい、と考える方も多いのですが、これを実践するのは簡単ではありません。
将来の物価上昇に備えて、僕はどうしているのか。
今さらジタバタするのではなく、執筆時点で19年間続けている、株式を対象とした投資信託の積み立て購入を、これからも淡々と続けていくのみです。
あとは、毎日の仕事に一所懸命取り組むだけ。
今も将来も安心して生活するためには、それがいちばんです。
人類の歴史は、感染症との闘いの歴史。
これからも上手に付き合いながら、何とか乗り越えていきたいですね。