変動金利型住宅ローンが、なぜよくないのか

住まいの購入相談を受けるとき、とても気になることがあります。

それは、住宅ローンを組む際に、多くの方が、変動金利型で計画しようとされていることです。

一般的に、変動金利型のほうが固定金利型よりも、金利が低く、毎月の返済額を抑えることができます。

しかし、結論から言うと、基本的には変動金利で組むのはやめるべきです。

なぜなら、理由はシンプルで、「ギャンブル」になってしまうから。

確かに、もうかれこれ何年も、超低金利が続いています。

僕が住宅メーカーに入社した1997年の時点でさえ、もうこれ以上は下がらないといわれていたはずなのに、あれからずっと下がり続けていて、今では低いところでへばりついてしまっています。

でも、いつまでも低金利が続くとは考えないほうがいいです。

今、この国では、高齢化で医療や介護などの社会保障にとてもたくさんお金がかかってて、一方で若い人が少なくなっていて、税金や社会保険料を払う人がだんだん少なくなってきているので、この国の政府の借金が増え続けている状態です。

そしてこの傾向は、少子化と高齢化が続く以上、少なくとも今後数十年は変わらないと考えられます。

では、この国の借金は、誰が負担しているのか。

それは、その大部分を、この国に住む僕たち一人ひとりが、預貯金を通じて間接的に負担しているのです。

銀行にお金を預けると、銀行は金庫にそのまま置いておくわけではなく、この国の政府に貸して金利を受け取るわけですね。

人口が増えているうちは問題なくても、この国はすでに少子化に歯止めがかからずに、人口がどんどん減っている状況です。

すると、日本人全体の貯蓄額も減っていくので、いずれアメリカ人とかに日本の借金を負担してもらわないといけなくなるときがやってくるかもしれません。

そのとき、アメリカ人はこんなに低い金利でガマンしてくれるのか。

さあどうでしょう?

変動金利型で住宅ローンを組む人は、だいたいこのように主張します。

「金利が上がってきたら、固定金利に借り換えます」

はっきり言いますが、こんなうまいことできるわけがないと考えておくべきです。

できたとしても、たまたま。

結果オーライだったという認識は必要です。

金利の過去の推移をグラフでみると、「あのときが高かった」などということはできますが、それはあくまでも過去を振り返ってわかることで、金利が今後どうなるかなんて、不確定要素だらけで、そもそもわからないと考えておくべきです。

固定金利に借り換えたとたんに、また下がっていったりして、悔しい想いをしたりするんです。

株の売買をしたことがある方なら、腑に落ちるのではないでしょうか。

これだけ長期間にわたって低金利が続いているだけに、上がるときは急上昇してしまうことも十分ありうるでしょう。

もちろん、結果的に35年間低いままだった、ということもありえますが、それはあくまでも未来に過去を振り返ってはじめてわかること。

株は怖い、って言っている人に限って、多額の長期住宅ローンをオール変動金利で組んで、リスクを極限まで高めていたりするものです(おそろしや~)。

だから、どうか、目先の返済額の少なさに惑わされないで、固定金利型を基本にローンを組んでいただければ、ハラハラドキドキすることもなく、新しい住まいで夜もぐっすり眠れるに違いありません。

ちなみに、借入額が少額であったり、短期間で返済するつもりであったりすれば、変動金利型を利用するのも間違いではないでしょう。

あくまでも、大きな額のローンを長期間組む前提であれば、迷わずに固定金利型にしてリスクを下げることをおすすめします。

住宅会社の営業マンは、目先の返済額を少なくできる変動金利型をすすめてくることが多いでしょうが。